脱原発 2021年1月
◎基本は朝日新聞。補足で毎日新聞。
4日 東京電力福島第一原発の敷地内にたまる処理済み汚染水の処分について、朝日新聞社の世論調査(郵送)で尋ねたところ、政府が検討する海洋への放出には「賛成」は32%にとどまり、「反対」が55%だった。放出による水産物への風評被害の不安は、8割以上が「感じる」と答えた。
4日 処理済み汚染水について、政府は海に放出して処分する方向で風評被害対策などの最終調整を続けている。政府基本方針の原案には、最初は環境影響を確認しながら少量で流すことや、被害が生じた場合は東電に賠償させることなどを盛り込んでいる。「いつまでも方針を決めずに先送りできない」(梶山弘志経済産業相)と繰り返しており、関係閣僚会議で早期の正式決定を目指す。
7日(毎日) 菅義偉政権が2050年までに温室効果ガス排出を「実質ゼロ」とする目標を掲げ、新型小型原子炉の開発を打ち出す中、立憲民主党が、策定中の基本政策に「原発ゼロ」の文言を盛り込むかどうかで苦慮している。旧立憲と旧国民民主党の出身議員の綱引きが続き、当初目指していた20年中の決着はならず、策定時期も見通せなくなった。
24日(毎日) 次世代の原発と呼ばれる「高速炉」。国内唯一の高速炉「常陽」(茨城県大洗町)は、10年以上も止まったままだ。日本原子力研究開発機構(JAEA)は、開発の動きを止めまいと再稼働を目指しているが、「2022年度内」としていた再稼働を「早くても24年度内」に先送りする方針を決めた。高速炉の開発は、絵に描いた餅になりつつある。
15日(毎日) 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の設置許可取り消し訴訟に関連し、住民側は14日、控訴審判決まで許可の効力を停止するよう大阪高裁に申し立てた。「事故が起きれば重大な被害を受けるため、関電が法的に運転できないようにする緊急の必要がある」と主張している。申し立てたのは福井県や近畿地方の住民ら計14人。
19日 原発を抱える自治体への財政支援を手厚くする特別措置法の期限が3月末に切れるため、政府は期限を10年間延長する改正案を今国会に提出する。期限を迎えるのは、2011年3月の東京電力福島第一原発の事故後初めて。事故後の原発への反発は根強く、かつて原発の新増設を後押しする狙いで生まれた法律をそのまま延長することの是非は国会で議論になりそうだ。
20日 原子力施設の立地自治体が条例を作って電力会社などに独自に行う課税で、東京電力福島第一原発事故の直後の2011年度に201億円だった税収総額が、20年度は467億円の見込みとなり、10年間で2・3倍に増え、事故前の水準を超えた。朝日新聞の調べで分かった。税金分は電気料金に影響する可能性がある。
22日(毎日) 東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から群馬県に避難した住民ら91人が国と東電に総額約4億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(足立哲裁判長)は21日、国の責任を否定し、東電のみに約1億2000万円の支払いを命じた。
24日(毎日) 東京電力は23日、柏崎刈羽原発(新潟県)の所員が昨年9月、他の所員のIDカードを使って不正に中央制御室に入っていたと発表した。原子炉等規制法に基づき、テロ対策などを定めている核物質防護規定に違反した可能性があるとして、原子力規制委員会に報告した。原発への出入りは厳密に管理する必要があるが、中でも重要な制御室への不正入室は東電の管理態勢が問われそうだ。
27日(毎日) 東京電力福島第1原発事故について、原子力規制委員会は26日、2、3号機で丸いフラスコ状の「原子炉格納容器」上部の蓋(ふた)に当たる部分が、極めて高濃度の放射性物質に汚染されていたという調査結果の中間報告書案を明らかにした。格納容器内の底部などにある溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)周辺と同程度の放射線量で、廃炉作業の遅れなど影響が懸念される。
29日(毎日) 東京電力が2018年、原発専業の日本原子力発電(東京)に資金支援する方針を決めたことを巡り、東電の株主2人が小早川智明社長ら経営陣を相手取り、支援の差し止めなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁(江原健志裁判長)は28日、請求を棄却した。
30日 政府は29日、原発を抱える自治体を手厚く財政支援する「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」(原発立地特措法)を10年間延長する改正法案を閣議決定した。3月末で期限を迎えるため、2月中の成立を目指す。
31日(毎日) 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の事故に備えた広域避難計画をめぐり、原発の30キロ圏内から避難する人を受け入れる避難所が過大に見積もられていた。一部施設でトイレや倉庫などの「非居住スペース」を除外しなかったことなどから、2018年時点での収容人数が約1万8000人分不足していた。自治体間の協議は今も難航しており、国内原発で最多の約94万人が避難する計画は策定開始から7年を過ぎても完成していない。
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