脱原発 2021年2月
◎基本は朝日新聞。補足で毎日新聞。
1日 日本原子力発電(原電)が運営する東海第二原発(茨城県)で、再稼働のための安全対策工事をめぐる原電とゼネコン3社の契約交渉が、交渉開始から2年以上を経ても妥結していないことが複数の工事関係者への取材でわかった。この影響で、2022年12月とされる工事の終了予定が延びる可能性がある。
2日 運転開始から40年を超える老朽原発の関西電力高浜1、2号機(福井県高浜町)について、高浜町の野瀬豊町長は1日、再稼働に同意すると表明した。今後は福井県の杉本達治知事の判断が焦点になる。関電は3月以降の再稼働を目指すが、実現するかは不透明だ。
2日 日本原子力発電の東海第二原発(茨城県東海村)に重大事故が起きた際の広域避難計画を巡り、茨城県は1日、避難所の収容人数が2018年時点で約1万8千人分過大に見積もられていたと明らかにした。トイレや倉庫など「非居住スペース」の面積も含めて算出していた。県は過大見積もりを公表しないまま関係自治体と調整を進め、現時点でなお計6900人分が不足しているという。
4日 東京電力福島第一原発事故で群馬県内に避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた訴訟で、国の責任を否定し東電だけに賠償責任を認めた東京高裁判決を不服として、原告と東電が3日、最高裁に上告した。
9日 原子力規制委員会は8日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で昨年9月に東電社員が他人のIDカードで中央制御室に入った問題について、「安全確保に影響がある」と認め、東電に追加の規制検査を行うことを決めた。東電が不正入室を報告した2日後に、柏崎刈羽の再稼働に向けた審査が事実上終結したが、更田豊志委員長らは今年に入るまで不正入室を知らなかった。
11日 あと1カ月で事故発生から10年を迎える東京電力福島第一原発。敷地内の放射線量はかなり下がったが、廃炉作業は大幅に遅れ、30〜40年で完了する目標はかすんできた。廃炉の最終的な姿を語らずに時期だけを掲げるこれまでのやり方は、限界に近づいている。
12日 原子力災害を想定し、住民避難の対応をはじめとする警備計画を43都道府県警が策定していることが警察庁への取材でわかった。10年前の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故をふまえ、原発立地やその周辺の地域以外を管轄する警察でも策定が進んだ。事故に備えた装備資機材や原子力施設を狙うテロに対処する部隊なども強化が図られてきたという。
16日 運転開始から40年を超える老朽原発の関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)について、美浜町の戸嶋秀樹町長は15日、再稼働に同意すると表明した。関電高浜1、2号機(同県高浜町)の再稼働に高浜町議会と町長が既に同意しており、老朽原発3基の再稼働については、16日開会の福井県議会と杉本達治知事の判断が焦点となる。
16日 東京電力は15日、柏崎刈羽原発(新潟県)で昨年9月、社員が他人のIDカードを使って不正に中央制御室に入った問題で、石井武生所長を減給(10%)1カ月、不正入室した社員を出勤停止30日間とするなどの処分を発表した。小早川智明社長は厳重注意、牧野茂徳常務原子力・立地本部長は譴責(けんせき)とされた。
16日 東京電力は14日、13日夜の地震で、福島第一原発(福島県大熊町・双葉町)と福島第二原発(同県富岡町・楢葉町)の使用済み燃料プールの冷却水が計3リットルほどあふれたと発表した。いずれも外部流出はなく、拭き取った。周辺の放射線量にも変化はなかった。
20日 東京電力福島第一原発事故で千葉県内に避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、東京高裁(白井幸夫裁判長)であった。一審・千葉地裁は国の責任を否定して東電の賠償責任だけを認定していたが、高裁は国と東電に同等の責任を認め、連帯して43人に計約2億8千万円を支払うよう命じた。
20日(毎日) 東京電力は19日、福島第2原発と柏崎刈羽原発(新潟県)で、IDカードを紛失するなど、核物質を扱う事業者のルール「核物質防護規定」に違反する可能性のある事案が計2件あったと発表した。東電の報告を受けた原子力規制委員会は、今後の検査で内容を確認し、深刻度などを評価する。
23日(毎日) 東京電力が、福島第1原発3号機の地震計2台が故障していたのに放置していたため、13日に福島県などで最大震度6強を観測した地震のデータを観測できなかったことが判明した。22日に開かれた原子力規制委員会の会合で、委員らの質問に東電が答えて明らかになった。
24日 東京電力福島第一原発の事故から10年になるのを前に、朝日新聞社と福島放送は、福島県民を対象に世論調査(電話)をした。原発の廃炉作業が予定通り進むことに、74%が「期待できない」と答えた。「期待できる」は19%だった。
25日 使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを原発で再利用するプルサーマル発電について、電力各社が今後実施をめざす原発を示した新たな利用計画案が明らかになった。東京電力ホールディングス(HD)が具体的な原発や導入目標数の記載を見送るなど、国の核燃料サイクル政策の行き詰まりが改めて浮き彫りになった。
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