労働と貧困 2021年1月
◎基本は朝日新聞。補足で毎日新聞。
1日 コロナ禍が広がるなかで迎えた大みそか。仕事や住まいを失って困窮した人向けの緊急相談会が東京・池袋の公園で開かれた。約40団体が参加する新型コロナ災害緊急アクションが主催。生活・医療相談、食料配布に加え、東京都が一時宿泊先として確保するビジネスホテルの案内などの宿泊支援にあたった。
5日 新型コロナウイルス対応も相まって、国家公務員たちの働き方が問題になっている。中央省庁などで過酷な長時間労働が続くなか、政策立案の担い手たちの流出も深刻化。政府は省庁の勤務状況の実態を調査するなどし、改めて対策に乗り出す構えだ。
6日 大手食品メーカー「明治」(本社・東京)の大阪工場(大阪府高槻市)がアルバイトの採用面接で、応募者に体重やウエスト、既往歴などを書面で尋ねていたことがわかった。こうした質問は10年以上前から続いており、公共職業安定所は職業安定法に抵触する恐れがあるとして行政指導を実施。同工場は質問の書面を廃止するという。
6日 帝国データバンクは昨年の飲食店倒産(負債1千万円以上、法的整理)が過去最多の780件だったと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が響いた。
8日 企業が働き手に払う休業手当を助成する雇用調整助成金について、厚生労働省は大企業の助成率も最大100%に引き上げると発表した。新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言の対象地域で、営業時間の短縮に応じた飲食店などが対象。田村憲久厚労相は企業に対し、休ませた働き手には、きちんと休業手当を払うように呼びかけた。
8日 66歳以上も働ける制度がある企業の割合が、2020年は前年より2・6ポイント増えて33・4%になったとの調査結果を、厚生労働省が発表した。
9日 営業時間の短縮などで仕事が減る飲食店員らを対象にした緊急相談会を東京の労働組合が開いた。「収入が減った」といった相談が数多く寄せられた。「全国一般東京東部労組」(東京都葛飾区)には40件の相談があった。居酒屋でパートで働く神奈川県の女性は、宣言を受け8日からシフトが減った。「このままでは家賃が払えなくなる」と相談すると、会社側に休業手当の支払いを求めて交渉するよう助言を受けた。飲食店の経営者が国の助成制度のことを尋ねる電話も目立ったという。
14日 飲食店で営業時間の短縮が進むなか、大手チェーンの働き手から、シフトを減らされた分の収入減が補償されないとの訴えが相次いでいる。職場が休業手当を払う必要はないと主張する企業がある一方、そうした場合に国が働き手に直接払う支援金は、大手の働き手が対象外になっているからだ。事態の改善を図るべきだとの指摘も出ている。
13日 東京商工リサーチが発表した昨年の企業倒産(負債1千万円以上)は、前年比7・2%減の7773件で30年ぶりの低水準だった。負債総額は同14・2%減の約1兆2200億円。コロナ禍で飲食業の倒産が目立つ一方で、実質無利子・無担保融資や給付金など公的な支援もあり、全体の件数は抑えられた。
15日(毎日) 新型コロナウイルスの感染拡大で保健所の業務が逼迫(ひっぱく)しているなどとして、大阪府関係職員労働組合(小松康則執行委員長)は15日、保健師や保健所職員の定数増などを求める約6万人分の署名を、吉村洋文知事と田村憲久厚生労働相に提出した。
15日 今春卒業予定の大学生の就職内定率は、昨年12月1日時点で82・2%だったと厚生労働省と文部科学省が発表した。前年同期からの落ち込み幅は4・9ポイントで、前回10月1日時点の7・0ポイントから縮小した。新型コロナウイルスの影響による採用選考の遅れが回復してきたとみているが、2度目の緊急事態宣言の影響を懸念する声も出ている。
15日 新型コロナウイルス対応の営業時間短縮で勤務シフトを減らされたのに休業補償を受け取れないアルバイトらがいる問題で、田村憲久厚生労働相は日、「休業手当が払われなければ厚労省に連絡を」と呼びかけた。国の労働局に相談すれば、支払うように企業に個別に働きかけるという。支払いを促すため、休業手当の助成率を大企業でも100%とする地域を拡大する方針も明らかにした。
18日 東京商工リサーチは昨年に全国で休廃業・解散をした企業は前年比14・6%増の4万9698件と、2000年の調査開始以降で最多だったと発表した。実質無利子・無担保融資や給付金の公的支援で倒産件数は抑えられているが、コロナ禍で先行きは不透明の中、多くの負債を抱える前に事業をたたむ企業が目立つという。
19日 経団連は今年の春闘に向けた基本方針を発表した。コロナ禍を機に一気に広がったテレワークをどう生かすかが課題だとして、労使での話し合いを求めた。多くの企業で経営環境が悪化するなか、一律の賃上げは難しいが、業績がいい会社は「ベースアップ(ベア)も選択肢」と、これまで続いた賃上げの流れは維持したい考えだ。
21日 新型コロナウイルス禍で働けずに国内にとどまる技能実習生が、昨年末時点で少なくとも1千人超いる一方、昨夏以降に新たに4万人超の実習生が入国したことが朝日新聞のまとめで分かった。実習生は昨春からコロナ特例で「転職」も認められたが、再就職が十分に進まないまま、次の実習生を大量に受け入れている状況が浮き彫りになった。
22日 2020年は自殺者数が11年ぶりに増え、2万919人(速報値)だったと厚生労働省が発表した。女性が6976人で前年より885人(14・5%)増加。若い世代の増加も目立ち、小中高生は1〜11月だけで440人(前年同期比18・3%増)と、過去最多だった1986年の年間合計を上回った。厚労省は新型コロナウイルスによる生活の変化などが背景にある可能性があるとみている。
22日 マツダ労働組合(組合員約2万人)は今春闘で賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)の要求を、8年ぶりに見送ると決めた。コロナ禍による厳しい経営環境を考慮した。昨春は定期昇給と合わせた総額で「月9千円」を要求したが、今回は定昇分(6千円相当)の確保などを求めていく方針だ。マツダは販売台数が急減し、2021年3月期決算の純損益が900億円の赤字になりそう。マツダ労組や取引先の部品メーカーなどとつくる全国マツダ労働組合連合会(組合員数約4万8千人)も20日、8年ぶりにベアの要求額を掲げないことを決めている。
22日 航空業界の労働組合でつくる航空連合(組合員約4万6千人)は中央委員会で、今年の春闘で賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)の要求を見送る方針を決めた。昨年は3千円以上のベア目標を掲げたが、今年は新型コロナウイルスによる業界への打撃を受け、雇用維持や産業の存続を重視する。
25日 トヨタ自動車労働組合(組合員約7万人)は2021年春闘の要求の執行部案を固めた。要求総額は「1人平均月9200円」だが、今回から基本給を底上げするベースアップ(ベア)を含むかどうかは公表しない。ベアを重視してきた春闘からの脱却を徹底する。
26日 トヨタ自動車子会社のトヨタ車体が、航空機産業の従業員を出向などの形で受け入れていることがわかった。新型コロナウイルス禍で航空機需要が激減する一方、自動車産業は回復基調にある。感染拡大の打撃を受けた企業の従業員の雇用維持に、業種を超えて協力する動きが広がっている。
25日 ホンダの労働組合「本田技研労働組合」(約3万7千人)は、2021年春闘で賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)を8年ぶりに求めない執行部案を決め、組合員に示した。2月16日に正式決定する。昨年の消費者物価が4年ぶりに下落したことや、電動化への対応などで厳しい事業環境を踏まえた。
26日 今年の春闘をテーマにした経団連の会合が始まり、2月以降の本格的な労使交渉に向けて幕が開いた。新型コロナウイルス禍で経済が打撃を受け、「官製春闘」とも呼ばれた昨年までの賃上げムードから一転、逆風が吹く状況。労使とも賃上げ維持を掲げてはいるものの、姿勢には早くも濃淡が表れている。
27日 菅義偉首相は参院予算委員会で、新型コロナの感染拡大によって生活に苦しむ人たちへの対応を求められた際、「政府には最終的には生活保護という仕組み」があると述べた。
28日 新型コロナウイルスの感染拡大によって生活に苦しむ人たちへの対応をめぐり、田村憲久厚生労働相は参院予算委員会で、「生活が大変窮迫されて、必要がある方は、生活保護を受ける権利がある」と答弁した。制度の「弾力的な運用」で支援していく考えを示した。
29日 厚生労働省が発表した2020年の年平均の有効求人倍率は1・18倍で、前年より0・42ポイント低下した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、オイルショック後で雇用が不安定だった1975年(前年比0・59ポイント低下)以来、45年ぶりの下落幅だった。
昨年12月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と同じ1・06倍だった。ただ、企業の雇用意欲を示すとされる新規求人は11月より減り、前年同月より18・6%少ない水準。産業別では、宿泊・飲食サービス業が同31・4%減、生活関連サービス・娯楽業が同30・8%減だった。
総務省が29日発表した昨年12月の完全失業率(季節調整値)は2・9%で、前月と同じだった。完全失業者数は、前月より6万人増の204万人だった。
29日 政府は原発を抱える自治体を手厚く財政支援する「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」(原発立地特措法)を10年間延長する改正法案を閣議決定した。3月末で期限を迎えるため、2月中の成立を目指す。
29日 厚生労働省は日本で働く外国人は昨年10月末時点で172万4328人だったと発表した。1年前より約6万5千人増え、8年連続で過去最多を更新した。増加率は4.0%で、新型コロナウイルスの影響で前年の13.6%よりも大きく減った。国籍別では、ベトナムが44万3998人で初めて最も多くなった。中国の41万9431人、フィリピンの18万4750人が続く。技能実習で来たのは40万2356人で前年より4.8%増えた。
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